I-GARDEN_斜面の庭
長い坂道の途中にある垂直方向に広がる庭である。
既存の斜面の土の流出防止と法尻強化と保護のため枕木で土留めを先ずは設置し、地形の小さな凹凸を見ながら、その斜面を登る管理用通路も兼ねた木製階段を設け、既存植生もそのままに、新たな中高木と低木、地被植物を追加植栽し、庭としての趣と機能を持たせている。
階段を登りきったわずかな庭の平坦部は、モダンな建物の白い列柱と濃いグレーの広縁タイル空間を意識した配植とコンクリート製踏み石、白い砂利敷きでシンプルに納めている。
業務類型 | 造園(個人邸・設計施工) |
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期間 | 2004年5月 |
規模 | 50㎡程度 |
植物 | アオダモ、ジューンベリー、ヤマボウシ、ヒメシャラ、シラカシ、ソヨゴ、トキワマンサク(白)、キンメツゲ、リュウノヒゲ、ワイルドストロベリー他および既存植物 |
敷地に高低差がある以上、土留め費用の増大が問題となった。そのほか安全性、耐用年数、日々の管理のことなどクライアント、建築家と話し合った結果、植物が法面を覆い、その根が土壌をガッチリおさえることで安定している今の現状を活かすことを基本に庭づくりをすることとなった。そしてこのことは要望となり、コンセプトとなって動き出すこととなった。
坂道を登りながら庭の全景を見上げ、中央に設けた階段を登りながら、下がった目線で足下周辺の季節の変化を感じつつ、登りきって振り向くと、一気に視野が広がり「我が住む町並み」が眼下に見渡せるという構成で展開。
登りきった部分の庭自体は平均1mほどの幅しかなく、ほぼ通路の設えになる。この庭部分の建物フロアはリビングとなっており、2面が無柱でフルオープンになる建具大開口にて、屋内床と同じタイルで張られたリビング+広縁が高さ30センチほどで繋がっており、独特の曖昧空間を提供することとなった。
△ 左から、施工前、土留め・階段設置段階、植栽施工後
建物を設計した友人である建築家の相談と紹介で始まった計画。平面、立面等図面は一通り書いたのだが、具体的には階段をはじめ、どこをどう仕切って登っていくのか? 雑草に覆われた地面を確かめながら、そして考えながらの作業だった。
枕木と耐候性のある木材を局所的に用いることにより直接的な土留め費用を抑えながら植栽基盤を整備。建築側の設備配管工事にて表土が剥がれ土の流出がある部分は、30㎝ごとに杭を打ち横架材を渡し初期の覆土流出を抑えるとともに、リュウノヒゲ等を植栽し表土を保護しおさめた。
ここまでくれば、あとは植木や資材を持ち上げる労力のみである。アオダモ、ザイフリボク、ヤマボウシ、ヒメシャラ、シラカシ、ソヨゴ等が配してある。法肩にはキチッと刈込まれるトキワマンサクとキンメツゲで縁どりを入れ、ワイルドな庭を引き締めた。
月日が経ち、枕木等はどうしても白けてきたが、近年のゲリラ豪雨にも問題なく生育中。